NIPTについて

FMC東京クリニックはNIPT実施認証施設です

当院は出生前検査認証制度等運営委員会において、NIPTを実施する医療機関として正式に認証をうけた施設です。

FMC東京クリニックでは2022年10月からNIPTを受けていただくことが出来るようになりました。

出生前診断および家系内の遺伝に関係する以下の検査は、全て当院でお受けいただけます。

  1. NIPT(無侵襲出生前検査)
  2. 精密超音波検査
  3. 絨毛(じゅうもう)検査
  4. 羊水検査
  5. 母体血清マーカー検査
  6. 流産胎盤検体を用いた遺伝学的検査
  7. 血液を用いた遺伝学的検査
  8. 唾液などを用いた遺伝学的検査

当院でNIPTを受けた方で「陽性」判定が出た方につきましては、トリソミーの確定診断を目的とした絨毛・羊水検査は無料で提供いたします。

NIPTとは何か

NIPTとはNon Invasive Prenatal Testingの頭文字4文字をつなげたものです。

「無侵襲出生前検査」(「むしんしゅうしゅっせいぜんけんさ」と言います)。わかりやすく言い直すなら、「妊婦さんの体や胎児の負担にならない方法で、生まれる前の胎児について調べること」です。

では、具体的にはどんな検査なのでしょうか?

今のところ、NIPTというときには、妊婦さんの血液の中から胎児のDNAの断片を見つけて、そこからわかる色々なことを胎児の診断につかう検査のことを指しています。

この検査は、胎児が染色体の数や構造の異常を持っていないかを調べる目的で使用されています(今も研究が続けられているので、将来はもっといろいろなことがわかるようになるかもしれません)。

NIPTの役割

胎児の診断を行う方法は大きく分けて三つあります。

一つは超音波を使う方法です。妊婦さんのお腹に機械を当てて、胎児の形をモニターに映し出すやり方ですね。それから妊婦さんの血液を調べる方法。NIPTもここに含まれます。最後の一つは子宮の中から絨毛(じゅうもう)や羊水を採取して、胎児の染色体や遺伝子を直接調べる方法です。

超音波とNIPTと絨毛・羊水検査にはそれぞれ、別の役割があります。

今、NIPTが受け持っているのは、胎児が「染色体トリソミー」という異常を持っている可能性が大きいか小さいかを調べるという役割です。

染色体トリソミーとは何でしょうか。

順番にご説明します。

染色体とは遺伝についての情報が書いてあるもののことです。ヒトの体を形づくる細胞の一つ一つに入っています。これは普通は2本が対になっています。ところが、この染色体が3本になっていることがあるのです。これをトリソミーと呼んでいます。

NIPTは、胎児の染色体の中に3本になっているものがありそうか、なさそうかを「見つけにいく」検査です。

NIPTで出来るのは、あくまでもトリソミーがありそうか、なさそうかを探ることですから、これはもしかして……? という胎児については、別の方法で「本当にトリソミーがあるのか、無いのか」をはっきりさせなければいけません。少し専門的になりますが、これを「診断の確定」と言います

この「診断の確定」をするために行うのが、絨毛・羊水検査です。

 妊婦さんと胎児の負担役割
超音波検査無い胎児の形からわかることを調べる
NIPT無い染色体トリソミーがありそうか、なさそうかを推測する
絨毛・羊水検査負担ゼロとは言えない遺伝子や染色体の異常があるか無いかをはっきりさせる

NIPTに関する当院の考え方

それでは、妊婦さんならば誰でもNIPTを受けた方が良いのでしょうか?

そうとも言い切れないですよ、というのが当院の考え方です。お金もかかりますし。

ここでは、当院ではNIPTについてどのように考えているかをお話しします。

NIPTの強みと弱み

まず、NIPTの優れているところについて。

NIPTは、21トリソミー(ダウン症候群)を妊娠の早い段階で発見するための方法として、これまでにこの目的で行われていた血清マーカー検査や超音波検査よりも優れています。これは間違いありません。

しかし、21トリソミー以外のトリソミーについては、今の段階では検出率や陽性的中率が少し劣るのも事実です。陽性的中率というのは、検査結果が陽性となった人たちの中で、本当に陽性の人がどれだけいるかという数字のことです(実は陰性なのに間違って陽性と出てしまう人もいます)。

また、NIPTで調べることができるものには限りがあります。特に年齢の若い妊婦さんでは、NIPTでわかる胎児の問題は、もともとそれほど多くはありません、

ですから、NIPT検査だけでは胎児に起こりうる問題の全てを見つけ出すことはできないのです。

検査方法を適切に組み合わせること、それぞれの検査方法のエキスパートになること

胎児の検査で一番大事なのは、胎児を詳しく観察することです。

精密な超音波検査と遺伝学的検査(この中の一つがNIPTです)を組み合わせることで、NIPTだけで済ませるよりもずっと正確で、色々な可能性を見落とさない診断につなげていくことができると当院は考えています。

当院では、妊婦さんのことやご家族のことを丁寧に伺いながら、何に気をつけるべきなのか、何を心配するべきなのかを考えて、いつどのような検査をすべきかを決めて参ります。それらの検査の一つがNIPTなのです。

また、一口に超音波検査やNIPTや絨毛・羊水検査といっても、それをする人の技術はバラバラです。上手い人もいれば、まだまだ研鑽が必要という人もいます。どんなお医者さん、どんな看護師さんも学校を出たばかりのときは、技術も経験も足りていません。先輩のお医者さんや看護師さんに教えてもらいながら場数を積み、新しい論文が出ればきちんと読んで、仲間のお医者さんたちと話し合って、レベルアップしていきます。

当院の医師・遺伝カウンセラー・臨床検査技師は皆、胎児診断の専門家として数多くの経験を積み、資格を取り、常に勉強をしてレベルアップに努めています。

FMC東京クリニックでNIPTを受けるメリット

当院でNIPTを受けていただくことのメリットは四つあります。

メリット1:産科医療の全てを知り尽くしたスタッフ

まず、院長の中村が産科医療のエキスパートであるということが、大きなメリットです。

中村は順天堂大学医学部附属病院、ボストン小児病院、ルーヴェン・カトリック大学、湘南藤沢徳洲会病院で産科や胎児治療の経験を積む中で、難しい症例も数多く経験しています。

また、NIPTがまだ臨床研究の段階だった頃から国際学会に何度も出席して、どうやってNIPTを胎児診断の現場に取り入れていくべきかという議論にも参加してきました。

当院では単にNIPTの検査結果をご説明するだけではなく、その結果を見ながら、赤ちゃんを生むということのあらゆる段階、あらゆる局面を想定したお話が出来ると考えています。

メリット2:NIPT後のフォローアップのエキスパート

当院には複数の臨床遺伝専門医が在籍しており、これまでも他院でのNIPTで陽性を告げられた妊婦さんを超音波で診たり、羊水検査や絨毛検査で診断の確定をおこない、フォローアップを提供してきました。他院では対応が難しいということで紹介状を持ってこられた妊婦さんも多数いらっしゃいます。

特に絨毛検査や羊水検査は人間の手で行うものですから、これらの技術を磨くには、数をこなすことが必要です。当院ではこれらの検査を日常的に行っており、熟練したスタッフが検査を担当しております。

当院ではNIPT検査と、その後の検査を、ワンストップで提供しています。

メリット3:適切な遺伝カウンセリングの提供

当院には複数の認定遺伝カウンセラーが在籍しています。NIPTや超音波検査、絨毛・羊水検査の結果に基づいて、適切な遺伝カウンセリングを行えるのも、当院の強みです。

中でも医療情報・遺伝カウンセリング部長の田村は、本邦における遺伝カウンセラーの草分け的存在で、お茶の水女子大学の遺伝カウンセラーコースで助教授を務めていたこともあります。現在も日本人類遺伝学会の評議員など様々な役職についております。

当院では、検査結果にもとづいてどのような選択をされる場合でも、最後まで支援いたします。

メリット4:他院との盤石なネットワーク

そして四つ目。当院は胎児診断を行うクリニックの草分けの一つとして、多数の信頼出来る医療機関とのネットワークを長年に渡って築いています。

当院で検査とカウンセリングを受けていただいた後の管理を依頼する医療機関への紹介も、責任を持って行っています。

NIPT受診の大まかな流れ

まずは事前カウンセリングから

NIPTは、妊娠10週から受けていただくことが可能ですが、検査費用は決して安くはないですから、きちんと準備を整えてから受けていただく方が良いと当院では考えています。そのために行うのが事前カウンセリングです。

この事前カウンセリングでは、丁寧にお話を聞きながら胎児に起こりうる様々な異常についてご説明させていただいて、どのような手順でNIPTを受けるかを妊婦さんと認定遺伝カウンセラーが一緒に考えます。

事前カウンセリングとNIPTの組み合わせ

当院では事前カウンセリングの後に直ちにNIPTを受けていただくことが可能です。

費用は遺伝カウンセリングとNIPTと結果説明で、130,000円です。

プレNIPT超音波検査との組み合わせ

当院でまずおすすめしているのはこちらの組み合わせです。妊娠が順調であるかどうかを先に超音波検査(プレNIPT超音波検査)で調べてみて、問題が無さそうならばNIPTに、という流れです。

このプレNIPT超音波検査で子宮内胎児死亡や無頭蓋症(頭蓋骨が形成されていないので脳が正常に発達しない病気)といった問題が見つかった場合には、NIPTは中止ということになります。このような時の妊婦さんやご家族の心中は察するに余りあるものですが、せめて高額なNIPT費用を払ってしまってからこうした異常が見つかるという形にはなっていただきたくない、というのが当院の考え方です。

費用は135,000円(ただしプレ超音波検査で異常が見つかってNIPT中止の場合の費用は15,000円)です。

初期精密超音波検査との組み合わせ

NIPTで調べられることは胎児の問題、先天性異常のごく一部ですから、NIPTを受けて陰性と言われたら絶対に安心ということにはなりません。

例えば、当院のウェブサイトを見にいらっしゃる方の検索キーワードの中で非常に多いのが「胎児 むくみ」という組み合わせです。こうした懸念がある時に威力を発揮するのが、初期精密超音波検査です。実際、他院でNIPTを受けて陰性と言われたけれど、今度は胎児のむくみがあると指摘を受け、当院を受診される方も多くいらっしゃいます。

胎児の異常を発見するための超音波検査は、全世界的に従来は18〜20週あたりで行われていましたが、今はその時期に見つけられていた問題の約5割から6割が、12週13週の検査でみつけられています。特に、より重症のものほど早く見つかる傾向があります。

当院は以前よりこの時期の精密超音波検査に力を入れて取り組んでおり、経験豊富なスタッフが検査を担当しています。

NIPTでは発見出来ない胎児の問題も、詳細な超音波検査によって早期発見が可能になってきています。

費用は163,000円(ただし初期精密超音波検査で異常が見つかってNIPTを中止した場合には43,000円)です。

NIPTの後は、検査結果に応じて、必要な遺伝カウンセリングや検査などを提供いたします。当院では、遺伝カウンセリング、絨毛検査、羊水検査、精密超音波検査、小児科医コンサルト、対応医療機関紹介が可能です。

当院でお受けになったNIPTで「陽性」判定が出た場合、診断の確定のために行う絨毛検査・羊水検査は無料で提供いたします。

さいごに

当院はNIPTを受ける前から受けた後までトータルでサポート出来る胎児診断のエキスパートがそろっていますので、妊婦さんとそのご家族のお役に立てると考えております。

お腹の赤ちゃんのことでご心配なこと、また他院で受けられた検査について疑問点があれば、ぜひご相談ください。

文責・中村靖(FMC東京クリニック院長/医学博士/臨床遺伝専門医・指導医/超音波専門医・指導医/産婦人科専門医/日本人類遺伝学会評議員/日本産科婦人科遺伝診療学会代議員/Fetal Medicine Foundation Licensee of Nuchal translucency, Nasal bone, Ductus venosus flow, Tricuspid flow)

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