女の子?男の子? に関連して:その判断方法に隠れているジェンダーギャップ

前回、超音波検査での男女判定についての記事を書きましたが、この男女判定、世の中にはいろいろな情報が出回っているようなんです。

よく聞くのは、妊婦さんのお腹の形による違い。お腹が前に突き出していると男の子、横に広がった形だと女の子だというのです。そんなアホな。これ本気にしている人、どのぐらいおられるんでしょうか??皆さん軽いネタで言ってるだけですよね。

そのほかにも、妊婦の顔つきの違いだとか、味覚の違いだとか、まあ非科学的な話がいろいろあります。微笑ましいといえばそうなんですけどね。

そんな中でちょっと気になっているのが、胎児の動きで判断できるというような話です。これもわりとよく耳にするのですが、曰く、元気に動いているから男の子、大人しくしているから女の子だと考えている方が、結構多いようなんです。

このイメージ、何なのでしょうねえ?そういえば妊婦の顔つきの話もこの種のイメージ(男の子は活発で強い、女の子はおしとやかでおとなしい)ですねえ。最近、すでに2人男の子を産んでいる女性で3人目は女の子だったという方が、やっぱり女の子は男の子と全然違っておとなしくて手がかからない。という感想を述べておられたのを耳にしたのですが、それは違うと思いました。それは単にそれぞれの子の個性か、あるいは何らかの環境の違いも関係してそうなっているだけで、男だから、女だからという話ではないはずです。

もしかしたら多少の違いはある可能性は、否定はしません。男女の脳の違いはよく知られているし、遺伝学的に見ても知的障害や自閉症傾向が男性に多いなどの事実もあります。最近盛んになりつつある胎児行動学のデータ集積が進めば、胎児期の行動の性差についての情報もより明らかになるかもしれません。しかし、妊婦さんが自覚するような違いが胎児の性別の違いで生じるとはとても思えません。

なによりも気になるのは、これらの判断基準のベースにある考えが、古典的な男女の社会的役割の違いに関する考え方と一致している点です。日本に住む人たちの間には、こう言った考え方がいまだ深く根付いているのだなあと感じるのです。まあ何と言ってもジェンダーギャップ指数144カ国中114位の国ですからねえ。

日本のジェンダーギャップ指数、過去最低を更新 114位に

男の子はこういうもの、あるいはこうあるべき、女の子はこういうもの、あるいはこうあるべき、というようなある種の思想が、ごく自然なことのようにそこにあって、無自覚に語られていることが、この国の現状を反映しているのではないかと感じます。ジェンダーギャップ指数のランキング上位国の人たちは、こんな話をしているものなのか、興味があります。おそらく一笑に伏すのではないかと想像しています。

現在、東京医科大学の入学試験で、合格者に占める女性比率が上がらないように女性受験者の点数を下げる操作を行っていたことが発覚し、ニュースになっています。こういう問題も、同じ延長線上にあるように思えてなりません。社会構造を変革させるためには、根深く染みついた思想を修正していかなければならないと思うと、いまお腹の中にいる胎児たちが、生まれてくる前からこのような話題に振り回されていることをなんとかしなければと感じるのでした。