2015年11月25日の記事 公開シンポジウム出席後の感想です。
一昨日おこなわれた公開シンポジウムに、中村・田村の2名が出席しました。このシンポジウムの中心テーマとなっているNIPTは、残念なことに当院では行うことができません。しかし、当院の遺伝カウンセリングでは、この検査内容も含めたすべてについて情報提供を行い、必要とあればこの検査を行う施設の情報も提示しています。実際にこの検査を行っているどの施設よりも、きちんと情報を網羅した、そして真に中立的な遺伝カウンセリングを行っていると自負しています。
今回のシンポジウムでは、この検査も含め、出生前診断について議論する立場にある人たちの考え、認識に、立場によって大きな開き・違いがあることが認識されました。そして残念なことに、建設的な議論には至りませんでした。
“多様性”と、“スクリーニング”という二つのキーワードが気になりました。多様性を尊重するべきという意見を強く主張される方々が、検査を受けることを検討する立場にある方々の多様性については思いが至っていないこと。マススクリーニングになることは避けるべきという話が、希望者を対象とした健診までをも含めたスクリーニングはよくないという話になってしまっていないかという疑問。
そして何よりもこのような場でいつも感じる違和感は、“専門家”の議論のなかで、一般の妊娠女性とその家族は置き去りにされていないかというところです。声の大きい人の極端な意見ばかりが注目されますが、その陰には多くのsilent majorityが、いまだ情報も手にできていない多くの人がおられます。指導的立場の先生方が、自分たちが指導していくことが正しいとお考えだとしたら、少し考えを改める必要があるように感じます。
私たちは、これからも一人一人の受診者の方々と、じっくりと向き合っていきたいと考えています。